英語学習法の一つとして人気の『シャドーイング』。英会話の学習法としても、最も効果的な学習のひとつとして知られていますが、SNSやブログでは「シャドーイングは意味ない」という否定派の声も散見されます。
そこで本記事では、なぜ「意味ない」と言われるのかを正確に整理し、「正しく実践すれば効果あり」と言える根拠を示しつつ、具体的なステップ・注意点をご紹介します。
そもそもシャドーイングとは?
シャドーイングとは、英語の音声を聞いた直後に、できるだけ同じスピード・発音・イントネーションで後追いして発話するトレーニング法です。通訳者の訓練としても用いられる本格的な手法で、リスニング力やスピーキング力の向上に効果的だと言われています。
具体的には、英語のナレーションや会話音声を聞きながら、その数語遅れて“影”のように発話していきます。文字通り、音声の「影(shadow)」のように追いかけることから、シャドーイングと呼ばれているそうです。
このトレーニングの最大の特徴は、「聞く」と「話す」を同時に行う点。耳で音を捉え、即座に口に出すというプロセスを繰り返すことで、英語の音声に対する反応速度や、自然なリズム感、発音の精度向上を期待できます。
1. シャドーイングが「意味ない」と言われる3つの理由
すでにシャドーイングに取り組んできた方にとっては、「シャドーイングは意味がない」と聞いても、いまひとつ実感が湧かないかもしれません。以下では、なぜそうした声が上がるのか、その理由をわかりやすく解説していきます。
①初めから難易度が高すぎる
初心者がネイティブスピードの音声でシャドーイングを始めると、内容の理解が追いつかず、まるでモゴモゴと真似するだけに。結果として「意味がなかった…」と感じやすい傾向があります。
②ゴール設定が曖昧で成果を実感できない
「英語力を伸ばしたい」とぼんやり始めると、発音やリズムへの意識が薄れ、ただ音声をマネする練習になってしまいがち。効果を実感しづらく、「無駄だった?」という気持ちに繋がります。
③短期間での変化は目に見えにくい
シャドーイングで鍛えられる発音・リズム・イントネーションは、1日や1週間では大きな変化が見られず、根気が必要。すぐ効果が感じられないため「続けても意味ない」と誤認しやすいのです。
2. シャドーイング意味ないは誤解なのか? 実証されたシャドーイング効果3選
世間的には「意味ない」と言われているシャドーイングですが、英語学習者の中でははっきりと効果を実感した人も少なくないようです。以下では、筆者の実体験も加え、シャドーイングを実践して得られた効果を解説していきます。
①リスニング力の向上
英語音声をただ聞き流すだけでなく、即座に「声に出して追いかける」動作が加わるため、英語で聴いて、理解して、発話まで行う脳の回路を鍛えることができます。研究でも、3ヶ月継続でTOEICリスニングスコアが平均20点アップした例も報告されており、リスニングの向上には欠かせないほどの学習法となっているようです。
②発音・イントネーションが自然に整う
音のリズムや抑揚を真似ることで、リズム感(プロソディ)の改善にも効果的です。ネイティブに近いイントネーションが身につき、結果として「通じやすい英語」へとブラッシュアップされます。
③スピーキングとスムーズな音の知覚が強化される
単に“理解する”だけでなく、“即座に声に出す”ため、意味理解→発話までの反射速度が鍛えられます。また、音のまとまり(chunking)や連結音(linking)への感度も高まり、聞こえる速度にも強くなります。
3. ステップ別:初心者でも失敗しないシャドーイング実践法
ステップ | 内容 | ポイント |
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Step 0:リスニングだけ | テキストなしで音声を聞き取り内容を把握 | 内容理解が曖昧なままシャドーイングを始めない |
Step 1:リピート練習 | 音声フレーズを聞いて同じタイミングで発声 | イントネーションやリズムを意識する非常に重要 |
Step 2:オーバーラッピング | スクリプトを見ながら音声に重ねて話す | 正確さを高めたい局面で効果的 |
Step 3:スクリプトなし本番シャドーイング | 見ずに音声のみで即時復唱 | 理解力・反応力・発声が同時に鍛えられる |
Step 4:録音で自己確認 | 自分の声を録音し、音質や抑揚をチェック | 自分では気づきにくい癖を改善できる |
Step 5:プロにチェック or 比較音源で対照 | 上手な参考音源と自分の声を比較 | 第三者の意見や客観性が精度向上に効果 |
4. 3ヶ月続けて初めてシャドーイングの効果が感じられる理由
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月0–1:聞き取りと発声の基礎整備期
音声スピードに慣れる段階。流暢さより正確なコピーを重視。 -
月1–2:抑揚・リズム調整の改善期
プロソディや音のつながりに敏感になり、英語らしい響きが出始める。 -
月2–3:理解→発話が即座に結びつく高度習得期
聞いたら即声に出せる“音の直感”が育ち、リスニングとスピーキングの両面で成果が出やすくなります。
※この「3ヶ月」はあくまで目安ですが、継続による変化が出やすいタイミングとして有効です。
5. よくある落とし穴&対策まとめ
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落とし穴①:レベル設定が高すぎる
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対策:まずは8〜9割理解できる素材でスタート。慣れたら徐々にレベルアップ。
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落とし穴②:スクリプトへの依存
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対策:最初に使ったら、以降は“見ない状態で”シャドーイング。
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落とし穴③:録音なしの自己流練習
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対策:必ず録音し、自分の癖を可視化。プロやアプリの自動採点機能を活用すると客観的にチェックできます。
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落とし穴④:単体でやってしまう
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対策:シャドーイングは「発音・リズムを整える」補助ツール。瞬間英作文や会話練習とも併用すると効果倍増。
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6. シャドーイングを生活習慣にする3つのヒント
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毎日10分、週5日ペースで継続
コンスタントさこそ力。休日にまとめてやるより、少しずつ毎日が効果的。 -
習慣化しやすい環境づくり
通勤中にスマホで音声、録音はお風呂前後でもOK。スキマ時間を活用。 -
学習仲間やSNSで進捗共有
モチベキープ&サボり防止。上達の声やアドバイスをもらえるのも大きな助け。
7. シャドーイングは「意味ない」ではなく「正しく使えば強力な学習技術」
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✅「意味ない」と感じるのは、方法のズレか継続不足が原因
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✅正しいステップで行えば、リスニング、発音、スピーキングすべてに効果あり
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✅3ヶ月継続+録音・客観チェック+他メソッド併用が成功の鍵
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✅毎日10分の小さな積み重ねが、確かな伸びを生む
シャドーイングは「やっても意味ない」ではなく、「正しく続ければ、本当に効果ある学習法」です。「やり方がわからない」「効果が出ない」と感じる方は、ぜひ今日から改めて実践ステップを整理してみてください。少しの工夫と継続が、「聞く→話す」が連動した英語力をあなたにもたらします!