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映画

シャーリーズ・セロン-南アフリカの闇を越えて輝く、トラウマを力に変えた女優の軌跡-

夢を追う者には、必要な試練が訪れる」──そう私は考えている。

シャーリーズ・セロンの人生は、まさにその言葉を体現したものだ。南アフリカの農場で育った彼女は、アルコール依存症の父による暴力と恐怖の中で少女時代を過ごし、15歳のときに母親が父を射殺するという壮絶な体験をした。

だが彼女は、その深い傷を抱えながらも、ハリウッドのトップ女優へと登り詰め、今では人道活動家としても世界に影響を与えている。

人生における苦難は決して歓迎すべきものではないが、夢を追う過程で直面した困難を乗り越えたとき、人は想像を超える強さを手に入れるのだと、彼女のキャリアは教えてくれているようだ。​

本稿では、今やハリウッドを牽引しているシャーリーズ・セロンの人生を深掘りしたい。

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15歳の夜──母が父を撃った、人生を変えた出来事

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1991年6月21日の夜、シャーリーズ・セロンの人生は大きく転落した。当時15歳だった彼女が直面したのは、母親が父親を射殺するという、あまりにも衝撃的な出来事だった。

当時の夜、父親は叔父とともに大量の酒を飲んで帰宅し、歩くこともままならないほど泥酔していたという。にもかかわらず銃を手に取り、家の中で暴れ始め、ついにはセロンの寝室のドアを撃ち抜きながら「今夜、お前たち二人を散弾銃で殺してやる」と叫んだ。

母親とセロンは必死にドアを押さえたが、父親は発砲をやめなかった。その瞬間、母親は自分の拳銃を取り、反撃に出る。父親はその場で命を落とし、同行していた叔父も負傷したが、警察は正当防衛だったと判断している。

セロンは後年、この出来事そのものよりも、アルコール依存症の父親と暮らす日々の恐怖こそが、より深いトラウマだったと語っている。

朝目覚めるたびに、父親が酒を飲んでいるかどうかで一日の空気が決まり、自分の人生が他人の依存症に左右される――その無力感が、彼女の心に強く刻まれたのだという。

ちなみに、2004年のダイアン・ソーヤーとのインタビューでは、「もし自分の娘が同じ状況に置かれたら、私も同じことをする」と語り、母親の行動を擁護する言葉を残した。

過去を隠すことなく語る彼女は、「こうした経験を共有することで、私たちは決して一人ではないと気づける」とも述べている。

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夢を追ってアメリカへ──バレリーナから女優への転身

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父親の死から数か月後、16歳のシャーリーズ・セロンは南アフリカを離れ、自らの未来を切り拓くために動き出した。

ヨハネスブルグで開催されたモデルコンテストで優勝すると、その実績をきっかけにイタリア・サレルノで1年間のモデル契約を獲得。母親とともにミラノへ移住し、ヨーロッパでモデルとしての経験を積んでいく。

18歳になると、さらに大きな夢を胸にアメリカへ渡り、ニューヨークとマイアミで生活を始めた。

だが彼女の本当の夢は、モデルではなくダンサーになることだった。ニューヨークの名門ジョフリー・バレエ・スクールで本格的にバレエを学び始めるものの、膝の重傷により、その道は突然断たれてしまう。

転機が訪れたのは1994年のことだ。ほとんど無一文の状態で南アフリカの口座から資金を引き出そうとし、銀行員と口論になっていたところを、偶然居合わせたハリウッドのマネージャー、ジョン・クロスビーに目を留められる。

彼はその場でセロンに声をかけ、ほどなくマネジメント契約を結ぶこととなった。

その数か月後、セロンは『チルドレン・オブ・ザ・コーン III』(1995)で映画デビューを果たし、『2 デイズ・イン・ザ・バレー』(1996)や『すべてをあなたに』(1996)といった作品で存在感を示していく。

後年、彼女は「傷は癒える」と語り、父親の死という大きなトラウマを乗り越えてきたことを明かした。

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『モンスター』でアカデミー賞──真の実力を証明した一作

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2003年、シャーリーズ・セロンは映画『モンスター』で実在の連続殺人犯エイリーン・ウォーノスを演じ、女優としての評価を決定づける転機を迎えた。

この役のために約30ポンド(約14キロ)増量し、特殊メイクで容姿を大きく変えたセロンの演技は、圧倒的な存在感を放ち、世界の映画批評家からは「映画史上最も偉大な演技のひとつ」とも絶賛されている。

その評価は結果としても表れ、2004年にはアカデミー賞主演女優賞を受賞。さらにゴールデングローブ賞、全米映画俳優組合賞、各批評家協会賞を次々と制し、名実ともにトップ女優の仲間入りを果たす。

監督を務めたパティ・ジェンキンスは、「彼女は現実でも本当にタフな人間で、映画の中でも何でもできる」と語った。

セロンが体現する“強い女性像”は、彼女自身の生い立ちと深く結びついているといえる。

後年、彼女は自身の役柄と幼少期の体験を切り離すことについて「それを無関係だと考えるのは愚かだ」と率直に語っている。

『モンスター』の成功によって、セロンはハリウッドで最も尊敬される女優の一人となり、アフリカ出身の女優として初めてアカデミー賞主演女優賞を受賞するという快挙を成し遂げた。

それは、南アフリカの農場で育ち、家庭内暴力という過酷な現実を生き抜いてきた少女が、世界最高峰の舞台でその才能を認められた瞬間でもあったのだ。

南アフリカへの恩返しー慈善活動と次世代への希望

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シャーリーズ・セロンは、世界的な成功を手にしても、祖国・南アフリカへの思いを決して忘れなかった。

2007年、彼女は「シャーリーズ・セロン・アフリカ・アウトリーチ・プロジェクト(CTAOP)」を設立し、アフリカの若者たちの健康、教育、HIV予防を支援する活動を本格的にスタートさせる。

さらに、パンデミック期には、CTAOPは「#TogetherForHer」イニシアチブを共同で立ち上げ、アフリカを含む世界各地での暴力問題に対応するため、50万ドル(約8000万)を支援している。

このプロジェクトには、マーゴット・ロビー、ヴィオラ・デイヴィス、サルマ・ハエックといったハリウッドのトップスターたちもこの活動に賛同を示し、支援の輪は大きく広がった。

セロンの慈善活動は、単なる社会貢献ではない。自身が経験してきた痛みや困難を、次の世代には繰り返させないための、静かで力強い闘いなのかもしれない。

参考資料

  • BUSINESS INSIDER
    https://www.businessinsider.com/charlize-theron-interview-mother-killed-father-npr-2019-12
  • BIOGRAPHY
    https://www.biography.com/actors/charlize-theron
  • TOWN&COUNTRY
    https://www.townandcountrymag.com/society/money-and-power/a45509269/charlize-theron-philanthropy-interview/

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