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マット・デイモンとベン・アフレックが明かした配信映画時代の真実と過去の崩壊、提示した新たな収益モデルとは?

マット・デイモンとベン・アフレックが明かした配信映画時代の真実と過去の崩壊、提示した新たな収益モデルとは?

Netflixの最新作『Rip/リップ』のプロモーションの一環として、マット・デイモンとベン・アフレックが、2026年1月15日に人気ポッドキャスト番組『The Joe Rogan Experience』に出演した。

アカデミー賞受賞経験を持つ名コンビは、2時間を超えるロングインタビューの中で、映画業界が直面している構造的な変化について率直に言葉を交わしている。

ストリーミング時代の到来がもたらした恩恵と、その裏で失われていったもの――DVD市場の衰退や人々の視聴スタイルの変化など、そこにはエンターテインメント業界を根底から揺さぶる現実が浮かび上がってくる。​

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DVD市場の崩壊がもたらした映画制作への影響

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まずデイモンが強く訴えていたのは、かつて映画ビジネスの収益構造を支えていたDVD市場が、すでに役割を終えてしまったという現実だ。

ポッドキャストの会話では「DVDは、私たちのビジネスにとって非常に大きな収益の柱だった」と振り返り、技術の進化がこのモデルを完全に過去のものにしてしまったと語っている。

DVDが主流だった時代、劇場公開は終着点ではなかった。興行成績が思わしくなかった作品でも、DVD販売という“第二のリリース”を通じて、後から利益を回収できる道が残されていたのである。

実際、2000年代初頭には、消費者がビデオの購入やレンタルに年間200億ドル以上を費やしており、中には単体で2億ドルを超える消費者支出を生み出す作品も存在した。

この安定した収益モデルがあったからこそ、スタジオは製作費2500万ドル規模の映画に、同額の宣伝費を投じるという判断も可能だったという。

しかし、ストリーミングの台頭によって、その“安全網”は完全に消え去った。

デイモンは「技術の進化で、そのやり方はもう通用しなくなった。以前は、劇場でヒットしなくても、DVDが後から支えてくれる前提で映画を作れていたんです」と語る。

ストリーミングが変えた映画の新たな制作手法

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アフレックとデイモンは、ストリーミング時代の視聴環境そのものが、映画の作り方に大きな影響を与えていると警鐘を鳴らした。

デイモンによれば、Netflixでは、従来のアクション映画で定番だった「見せ場を三幕構成で配置し、最大のクライマックスを第三幕に持ってくる」という作り方が、もはや前提ではなくなりつつあるという。

「今は『最初の5分で大きな見せ場を作れないか』と求められることが多い。とにかく視聴者を離さないためです」とデイモンは明かす。

さらに驚かされたのが、「物語の重要なポイントは、セリフの中で3回か4回繰り返しても構わないと言われる」という指摘だ。

その理由は単純で、多くの人がスマートフォンを触りながら映画を観ているからだという。

こうした“気が散った状態”の視聴者を前提とした発想は、物語の語り方そのものを変え始めているのがわかる。

デイモンは「これは本当に、私たちがどうやって物語を語るかに影響を及ぼし始めている」と率直な懸念を示した。

実際、スマートフォンやノートパソコンでの視聴が主流となったNetflixでは、劇場公開を前提とした映画とは異なる構成が求められているのだ。

かつての劇場体験では、観客が途中で席を立つことは簡単ではなかった。

しかし自宅でのストリーミング視聴では、少し退屈に感じれば、リモコンひとつで別の作品に移れてしまう。

その結果、1970年代の名作にあったような、冒頭だけで25〜30分かけてじっくり世界を描く作り方が、いまの映画では難しくなってきている。

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劇場 vs ストリーミング——変化する映画の経済学

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アフレックとデイモンは、劇場公開とストリーミング配信のあいだにある「お金の仕組み」の違いについても、かなり踏み込んで語った。

まず劇場映画の場合、制作費とほぼ同額の宣伝費が必要になり、さらに興行収入は劇場と配給側で分け合うことになる。そのため、製作費が2500万ドルの映画でも、黒字ラインに乗るにはおよそ1億ドルの興行収入が求められる。

さらに、劇場公開にはもう一つの高い壁がある。

それは、無数の娯楽があふれる中で「その特定の金曜の夜に、わざわざ映画館へ足を運んでもらう」必要があるということだ。

一方、ストリーミングは月額20ドル前後で見放題。家族で映画館に行けば100ドル近くかかることを考えると、手軽さの差は明らかだろう。

こうした経済的な現実が、スタジオをより慎重にさせているという。

アフレックは「誰もがリスクを取りたがらなくなっている。投資額が大きすぎて、すべて失う可能性があるからだ」と指摘する。

その結果、劇場映画は続編やスーパーヒーロー作品に集中し、かつて多く作られていた中規模予算の独創的な映画は、次第に姿を消しつつあるのではないか。

変化に適応する映画制作者たちの姿勢

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デイモンとアフレックは、業界の変化をただ嘆くだけではなく、それを受け入れ、適応しようとする姿勢もはっきりと示している。

デイモンは「文化を、自分が若かった頃の形に無理やり固定したがる人間には見られたくない」と語り、「需給の法則には逆らえない。人々がスマートフォンを見たいなら、そうするだろう」と、現実を冷静に受け止めている。

その一方で、彼らは“良い作品はきちんと届く”という信念を失っていない。

たとえばNetflixの『アドレセンス』は、物語の要点を何度も繰り返すような手法を取らず、暗く悲劇的な内容でありながら、大きな支持を集めた作品だ。

デイモンは「これは、そうしたテクニックに頼らなくても、人は作品に引き込まれるという証拠だ」と強調する。

さらに興味深いのが、自身が出演する『Rip/リップ』で導入された新たな映画の収益分配モデルである。

この新たなNetflixとの取り決めでは、作品がヒットした場合、俳優だけでなくスタッフを含むクルー全員にボーナスが行き渡る仕組みが採用されている。

アフレックはこれについて「公平性の問題なんだ」と語り、「作品がうまくいったなら、それに関わった全員が報われるべきだ」という考えを示した。

この試みは、きれいごとや理想論で終わる話ではない。

クルー一人ひとりが作品の成功を自分ごととして受け止めることで、現場の熱量は確実に変わる。

結果として、より良い映画を目指す空気が生まれる——変化の時代に対応するための、実践的で前向きな選択と言えるだろう。

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映画文化の未来——劇場体験の価値は消えない

デイモンとアフレックは、業界の変化を語りながらも、決して悲観的にはなっていない。

二人が共通して抱いているのは、「劇場体験の価値は、これからも失われない」という確信だ。

デイモンは「歴史を振り返れば、映画館は何度も“終わり”を予想されてきた」と語る。テレビの登場によって観客が減った時代があっても、それでも人々は映画館に足を運び続けてきた、というのだ。

アフレックも、ある俳優から聞いた『タクシードライバー』上映時のエピソードを紹介している。

その俳優は、あまりの衝撃に耐えきれず席を立ち、出口付近で立ち尽くしていたという。

「配信サービスで観ていたら、途中で観るのをやめてしまったかもしれない。それでも、『タクシードライバー』の価値が失われるわけではない」とアフレックは語る。

映画業界はいま、確かに大きな転換点に立っているといえるだろう。それでもデイモンとアフレックが示しているのは、変化を恐れず受け入れながらも、映画の本質的な価値を見失わない姿勢だった。

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