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なぜ『鬼滅の刃』はゴールデングローブ賞を逃したのか?世界興収1000億円超えの快挙も届かなかった理由とは

なぜ『鬼滅の刃』はゴールデングローブ賞を逃したのか?世界興収1000億円超えの快挙も届かなかった理由とは

2026年1月11日(現地時間)、米カリフォルニア州ビバリーヒルズで第83回ゴールデングローブ賞の授賞式が開催された。

日本からは唯一、劇場版『鬼滅の刃 無限城編』第一章 猗窩座再来(2025)がアニメ映画賞にノミネートされていたものの、受賞は叶わなかった。

栄冠を手にしたのは、Netflixで配信されたK-POPアイドルが悪魔と戦う物語『KPOPガールズ!デーモン・ハンターズ』だ。

『鬼滅の刃』は世界興行収入で1000億円を突破し、日本映画史上初の快挙を成し遂げていた。それでもなお、ハリウッドの権威ある賞を獲得できなかった背景には何があるのか。

本稿では、海外メディアの報道やこれまでの受賞傾向を分析し、日本のアニメ映画が直面している構造的な課題を探っていく。​

世界興収106億円超えでも届かなかった栄冠

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劇場版『鬼滅の刃 無限城編』第一章 猗窩座再来(2025)は、2025年7月18日の日本公開以降、国内で約390億円、世界合計で1000億円突破という驚異的な興行成績を記録した。

これは日本映画として史上初めての記録であり、興行収入面では他の作品を差し置いて圧倒的な成功を収めている。

しかし、数字上の成功がそのまま賞の獲得につながるとは限らない。

本作は、『君たちはどう生きるか』(2024)が前年にゴールデングローブ賞アニメ映画賞を受賞して以来、日本アニメとして2年ぶりの快挙が期待されていた。

しかし、世界的な興行収入という明確な成果を残しながらも、投票者の評価にはあと一歩届かなかったようだ。

現在ゴールデングローブ賞は、200名の投票者による選考が実施されている。

だが、この投票システムそのものに、日本アニメへの理解が十分に浸透しているとは言い難い。

数字では測れない文化的背景や評価基準の違いは、『鬼滅の刃』が選ばれなかった要因として十分考えられるだろう。

Netflixの戦略的プロモーションとの差

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今回受賞を果たした『KPOPガールズ!デーモン・ハンターズ』は、2025年6月にNetflixで配信が開始されると、わずか2か月でNetflix史上最も視聴された映画となった作品である。

同作の主題歌「Golden」は、Billboard Hot 100で1位を獲得するなど、まさに社会現象級の人気を誇っていた。

ゴールデングローブ賞では、作品賞と主題歌賞の2部門を制し、さらに同時期に開催されたCritics Choice Awardsでも同様の受賞を果たしている。


この成功の背景には、Netflixによる徹底した戦略的プロモーションも考えられる。

配信開始から授賞式までの期間、同作は音楽チャートとストリーミング再生数の両面で話題を独占し続けていた。

一方の『鬼滅の刃』は、日本公開から約2か月後の9月に米国公開されたものの、限られた劇場での上映にとどまり、配信プラットフォームでの展開も限定的だったと言える。

現代の映像業界においては、やはりNetflixのような巨大プラットフォームで常時視聴可能な作品が、結果的に認知や評価を集めやすい傾向にある。

一方、劇場公開モデルを軸とした『鬼滅の刃』の配給戦略は、国際的な投票者層への浸透という点では、不利に働いたのかもしれない。

日本アニメとハリウッド賞レースの距離感

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ゴールデングローブ賞におけるアニメ映画賞は2006年に新設された部門だが、長年にわたりピクサーやディズニーなどアメリカスタジオの作品が受賞を独占してきた。

日本のアニメ映画がこの部門でノミネートされること自体、実は極めて稀なことだ。

過去には『未来のミライ』(2018)や『犬王』(2022)がノミネートされたが、いずれも受賞には至っていない。

2024年に宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』(2023)が初めてゴールデングローブ賞アニメ映画賞を受賞したことは、日本アニメ界にとって歴史的瞬間だったと言える。

また、同年は日本作品として『すずめの戸締まり』も同時ノミネートされており、3作品中2作品が日本作品という異例の事態となった。

ただし、これを日本アニメの立ち位置が大きく変わった兆しと捉えるには、まだ早いのかもしれない。

日本のアニメ産業は、今や数十億ドル規模にまで成長している。一方で、制作現場に目を向けると、長時間労働や低賃金、人材不足といった課題は依然として深刻だ。

近年は国際的な共同制作も増えているものの、日本アニメは長らく「日本の企業が、日本の観客に向けて作る」ことを前提に発展してきた。

そのため、ハリウッドの賞レースを見据えた戦略や発信の仕方については、まだ十分に手探りの段階にあると言えるのではないだろうか。

アカデミー賞への影響と今後の展望

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ゴールデングローブ賞は「アカデミー賞の前哨戦」として位置づけられており、今回の結果は今後のアワードシーズンにも影響を与える可能性がある。

アカデミー賞長編アニメ映画賞は1975年に創設され、宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』(2001)が2002年に受賞して以来、スタジオジブリ作品は5回のノミネートと1回の受賞を記録している。

さらに、宮崎監督は2014年には名誉賞も受賞し、アカデミー映画博物館の最初の大規模展示の対象にもなった。

だが、『鬼滅の刃』のように圧倒的な商業的成功を収めた作品であっても、それがそのまま芸術的評価や賞の獲得につながるとは限らない。

SNS上では「ノミネートされただけでも十分すごい」「賞よりも作品そのものの力が大切だ」といった声も多く見られ、ファンの受け止め方は比較的冷静だった印象だ。

今回の結果は、日本アニメが世界市場で確かな成功を収めている一方で、欧米の映画賞における評価獲得には、なお高いハードルがあることを改めて示されたとも感じられる。

とはいえ、『鬼滅の刃』の挑戦がここで終わるわけではない。

今後はアカデミー賞をはじめ、さらなる賞レースが控えている。今回のノミネートという実績を足がかりに、日本アニメがハリウッドでどのような評価を積み重ねていくのか。

その道のりは決して平坦ではないが、未来への可能性が閉ざされたわけでもない。

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