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スパイダーマン歴代ヒロイン完全ガイド:初代ヒロインかた最新作まで20年の進化を徹底解説

『スパイダーマン』ヒロイン特集

シリーズごとに全然違うキャラクターが台頭してきた『スパイダーマン』のヒロイン。2002年の初代『スパイダーマン』から2022年の『ノー・ウェイ・ホーム』まで、実に20年の歳月が流れた。この記事では、歴代スパイダーマン映画のヒロインに焦点を当て、彼女たちの魅力と変遷を深掘りしていく。

初代:メリー・ジェーン・ワトソン(キルスティン・ダンスト)

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サム・ライミ監督がメガホンを取った初代『スパイダーマン』三部作(2002年、2004年、2007年)。このシリーズでヒロインを務めたのが、キルスティン・ダンスト演じるメリー・ジェーン・ワトソンだ。

赤毛が印象的な彼女は、ピーターの幼なじみでありながら、学校では華やかなグループにいる人気者として描かれた。内気でさえないトビー・マグワイア演じるピーターにとって、まさに”高嶺の花”そのものである。原作コミックの設定に忠実に、明るく魅力的な女性として造形されている。

キルスティン・ダンスト自身は、わずか12歳で『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(1994年)に出演し、ゴールデングローブ賞助演女優賞にノミネートされた実力派だ。後に『マリー・アントワネット』(2006年)でもソフィア・コッポラ監督とタッグを組み、華麗な王妃を演じている。『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(2021年)では第94回アカデミー賞助演女優賞にノミネートされるなど、その演技力は高く評価され続けている。

映画史に残る『逆さまキス』と守られるヒロイン像

初代シリーズのMJを語る上で外せないのが、あの有名な”逆さまキス”のシーンだろう。暴漢に襲われたMJをスパイダーマンが救出し、雨の中、逆さまにぶら下がったスパイダーマンとMJがキスを交わすあの名場面は、映画史に残るロマンティックなシーンとして今も語り継がれている。

しかし冷静に振り返ると、初代シリーズのMJは驚くほど頻繁にピンチに陥る。グリーンゴブリンに誘拐され、ドクター・オクトパスに捕らえられ、そのたびにスパイダーマンが間一髪で救出するというパターンが繰り返された。彼女自身が危機を脱する手段を持つことはほとんどなく、まさに「守られるヒロイン」の典型だった。

シリーズを通して、MJはピーターの親友ハリー・オズボーンや、デイリー・ビューグル紙の編集長の息子ジョン・ジェイムソンと交際するなど、恋多き女性として描かれる。最終的にはピーターと結ばれるものの、その道のりは決して平坦ではなかった。『スパイダーマン3』では、ピーターがモテ始めるとそれが面白くないという複雑な感情も見せている。

2000年代初頭の価値観を反映した彼女の描かれ方は、現代の目で見るとやや時代を感じさせる部分もある。だが、ある意味で彼女は時代の「犠牲者」とも言え、その後のヒロイン像の進化を語る上で欠かせない存在なのだ。


リブート版:グウェン・ステイシー(エマ・ストーン)

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初代シリーズから約10年後、2012年にリブート版として登場した『アメイジング・スパイダーマン』シリーズ。マーク・ウェブ監督のもと、アンドリュー・ガーフィールドが新たなピーター・パーカーを演じ、ヒロインもMJからグウェン・ステイシーへと変更された。

グウェン・ステイシーは、原作コミックにおいてもピーターの初めての恋人として登場した重要キャラクターだ。映画では警察官である父親を持つブロンドの女性として、エマ・ストーンが演じた。

エマ・ストーンといえば、後に『ラ・ラ・ランド』(2016年)でアカデミー主演女優賞を受賞し、押しも押されぬハリウッド女優となった人物である。本作での彼女の爽やかで知的な演技が、後のブレイクの礎となったことは間違いない。実は、撮影中にアンドリュー・ガーフィールドと交際を開始しており、画面からも二人の本物の化学反応が伝わってくる。

スパイダーマンを「助ける」ヒロインの誕生

前シリーズのMJと比較すると、グウェンは能動的で自立した女性として描かれた点が大きな違いだ。成績優秀で、ピーターよりも学業成績が良く、オズコープ社のチーフインターンとして働く聡明さを持つ。

スパイダーマンの正体がピーターだと知っても、一緒にいることを迷いなく選ぶ強い意志を持っている。さらに重要なのは、ピンチに陥ってもただ助けを待つのではなく、自ら行動し、時にはスパイダーマンを助けるパートナーとして活躍する点だ。

『アメイジング・スパイダーマン』では、リザードと化したコナーズ博士が散布しようとした血清の解毒剤を、科学の知識を駆使して調合し、ニューヨーク中の市民を救った。さらに『アメイジング・スパイダーマン2』でも、エレクトロとの戦いで停止した発電設備を操作し、スパイダーマンと協力してヴィランを撃破している。

このような描写は、2010年代に入り、女性キャラクターの描かれ方が大きく変化したことを象徴している。グウェンは「救われる対象」ではなく、「共に戦う仲間」として新たなヒロイン像を確立したといえるだろう。


衝撃の死亡シーンが残した深い傷

『アメイジング・スパイダーマン2』のクライマックスは、スパイダーマン映画史上最も心に刺さる展開として、今も多くのファンの記憶に刻まれている。グリーン・ゴブリンへと変貌したハリーとの戦いに巻き込まれたグウェンは、時計塔から落下してしまう。

ピーターはクモの糸で彼女を救おうとするが、糸が彼女の体を捕らえた瞬間の衝撃で首が折れ、命を落としてしまうのだ。原作コミックでも1973年に描かれた有名なエピソードだが、多くの観客は「映画では助かるだろう」と思っていただけに、そのショックは計り知れないものだった。

マーク・ウェブ監督は、このシーンについて「テーマは常に”時間”だった」と語っている。愛する人との時間は大切にしなければならない、そして時間は前へと進んでいく——その象徴として、舞台を時計塔にし、ピーターが歯車を手で止めようとする、つまり「時間を止めようとする」演出を施したという。

グウェンは卒業式のスピーチで「絶対に希望を捨てないで」「あなた自身が希望になって」と語っていた。その言葉がピーターを再び立ち上がらせることになるのだが、グウェンの死亡はピーターの心に深い傷を残し、スパイダーマンとして再起するまで5ヶ月もの時間を要することになる。

『アメイジング スパイダーマン』 シリーズは残念ながら3作目が制作されることなく終了したため、グウェンの死を乗り越えた後のピーターの物語を見ることはできなかった。しかし、後に『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』で、落下するMJをアンドリュー版ピーターが救うシーンが描かれ、彼はついに「グウェンを救えなかった」トラウマを克服することになる。

なお、『スパイダーマン3』(2007年)にも、ブライス・ダラス・ハワード演じるグウェン・ステイシーが登場している。こちらはあくまで脇役的な存在で、スパイダーマンとキスをしたことでMJとピーターの関係にヒビを入れる役割を担っていた。リブート版とは全く異なる位置づけである。


MCU版:ミシェル・MJ・ジョーンズ(ゼンデイヤ)

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スパイダーマンがマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に参加したことで、2017年から新たなシリーズが始まった。トム・ホランド主演の『スパイダーマン:ホームカミング』『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』三部作だ。

このシリーズのヒロインは、ゼンデイヤ演じるミシェル・MJ・ジョーンズ。愛称は同じMJだが、本名はメリー・ジェーンではなくミシェルという、全く新しいキャラクターとして設定された。

ゼンデイヤはディズニー・チャンネルの人気番組出身で、現在はファッションアイコンとしても絶大な影響力を持つ女優だ。『デューン』シリーズや『チャレンジャーズ』など、次々とヒット作に出演し、その演技力と存在感で観客を魅了し続けている。プライベートではトム・ホランドとの交際が報じられており、二人のリアルな関係性がスクリーン上の化学反応にも表れているようだ。


“ヒロイン像”に縛られない、新しい女性像

これまでのスパイダーマン女優と比べると、ゼンデイヤのMJは驚くほど「普通の高校生」だ。学校のマドンナ的存在として描かれることが多かったヒロインの定型を完全に覆し、クールで知的、学校では少し浮いている存在として登場する。

メイクはほぼせず、笑顔を振りまくこともない。皮肉屋でひと癖もふた癖もある性格で、一匹狼的な雰囲気を纏っている。従来の “ヒロイン像”に縛られず、ひとりの人間として丁寧に掘り下げられたキャラクターだ。

ゼンデイヤ自身、MJについて「彼女はとても用心深いキャラクター。温かい愛情をしっかりと持っているのに、時々殻をかぶってそうではないふりをする。誰でも自分を守るために壁を作ることがあると思う」と語っている。この言葉通り、映画が進むにつれて、MJが少しずつ心の壁を崩していく様子が描かれていく。

『スパイダーマン:ホームカミング』では、ピーターとはあくまで同級生の関係だった。全米学力コンテストのチームメイトとして一緒に練習をする程度で、恋愛感情は描かれない。ラストシーンで彼女が「友達には”MJ”って呼ばれてる」と明かし、ファンをざわつかせたのは記憶に新しい。

甘酸っぱい恋模様と「記憶が消える」運命

『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』では、夏休みのヨーロッパ旅行を舞台に、ピーターとMJのロマンスが本格的に動き出す。クールなMJも徐々に心を開き、ピーターが告白しようとしたタイミングで、「スパイダーマンの正体はピーターでしょ」と核心を突いてくる展開は、恋愛に疎い二人らしい甘酸っぱさに満ちている。

互いの気持ちを確認し、晴れて両想いとなった二人。しかし幸せな時間は長く続かなかった。『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』のラストで、スパイダーマンの正体が世間に暴露されてしまうのだ。

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』では、大切な人に危険が及ぶことを恐れたピーターが、ドクター・ストレンジに助けを求める。「自分がスパイダーマンだと知られていない世界にしてほしい」という願いを叶えるために呪文を唱えてもらうが、それが時空を歪ませる大惨事につながってしまう。

最終的にピーターは、MJやメイおばさん、親友のネッドから「ピーター・パーカー」の記憶を消すという選択をする。つまり、これまで育んできたMJとの関係性を完全に手放すことになったのだ。ラストシーンで、ピーターは一人でコーヒーショップを訪れ、そこで働くMJと再会するが、彼女はピーターのことを覚えていない。

この切なすぎる結末は、多くのファンの涙を誘った。しかし、ゼンデイヤの続投が発表されている次回作『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』(2026年夏公開予定)で、二人の関係がどうなるのか、世界中のファンが固唾を飲んで見守っている。


『スパイダーマン3』酷評の理由とヒロイン描写

ちなみに、初代シリーズの『スパイダーマン3』は、シリーズの中でも賛否が分かれる作品として知られている。その酷評の理由の一つが、MJの描かれ方だった。

前述の通り、ピーターがシンビオートの影響で自信過剰になり、他の女性にモテ始めると、MJは嫉妬から関係がギクシャクする。特にグウェン・ステイシーとの公衆の面前でのキスシーンが、MJとの関係に決定的なヒビを入れることになった。

批評家たちは、MJのキャラクターが一貫性を欠き、ピーターへの依存が強すぎると指摘した。彼女の行動原理が「ピーターとの関係」にばかり偏っており、独立した人間としての描写が不足していたのだ。これは2000年代の限界でもあり、後のシリーズがこの反省を活かしてヒロイン像を進化させていったことを考えると、『スパイダーマン3』は一つの転換点だったとも言えるだろう。


最新作『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』で新ヒロイン?

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2026年夏に公開予定の『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』では、ゼンデイヤの続投が確定している一方で、新たなキャストとしてセイディー・シンクの出演が発表され、大きな話題となった。

セイディー・シンクといえば、Netflixの大ヒットドラマ『ストレンジャー・シングス』でマックス・メイフィールド役を演じ、世界中にその名を知られるようになった若手女優だ。シーズン2から登場したマックスは、スケボー少女として登場し、主人公たちのグループに新しい風を吹き込んだキャラクターとして人気を博した。

『ストレンジャー・シングス』シーズン4では、トラウマを抱えるマックスを繊細に演じ、その演技力の高さで批評家からも絶賛された。ヴェクナとの戦いで重傷を負い、昏睡状態に陥るという衝撃的な展開は、多くの視聴者の心に深く刻まれている。

セイディーは『ストレンジャー・シングス』以外にも、テイラー・スウィフトのミュージックビデオ『All Too Well: The Short Film』に出演し、その演技が高く評価されるなど、若手実力派として着実にキャリアを積み重ねている。


新ヒロインの役どころと物語への影響

『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』でセイディー・シンクがどのような役柄を演じるのか、詳細はまだ明かされていない。しかし、記憶を失ったMJとピーターの関係が再構築される中で、新しいキャラクターの登場がどのような影響を与えるのか、ファンの間では様々な憶測が飛び交っている。

原作コミックでは、ピーターとMJの結婚が「なかったこと」にされ、ピーターが独身に戻るという物語だった。映画版では記憶を失ったMJという設定になっているため、原作とは異なる展開が予想される。

セイディー・シンクが演じるキャラクターが新たなヒロイン候補なのか、それともピーターの友人や同僚といった立場なのか。もしくは、ピーターとMJの関係を取り持つキーパーソンになる可能性もある。いずれにせよ、『ストレンジャー・シングス』で見せた存在感と演技力を考えれば、物語の重要な位置を占めることは間違いないだろう。


トム・ホランド版最終章への期待

『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』は、トム・ホランド主演のスパイダーマン三部作の完結編となる可能性が高い。記憶を失ったMJとどう向き合うのか、そして新キャラクターであるセイディー・シンクとの関係はどうなるのか。

ゼンデイヤは続投が決まっているものの、『ノー・ウェイ・ホーム』のラストでピーターのことを忘れてしまった彼女が、再びピーターと恋に落ちるのか、それとも別の道を歩むのか。セイディー・シンクの登場が、この三角関係にどう影響するのかも注目ポイントだ。

トム・ホランドは本作について「これまでとは全く異なるトーンになる」とコメントしており、より成熟したスパイダーマンの姿が描かれることが予想される。記憶を失ったMJ、新たに登場するセイディー・シンク演じるキャラクター、そしてすべてを背負ったピーター。この三人の関係性が、どのような物語を紡ぎ出すのか、今から楽しみでならない。

coming soon・・・

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