定年を迎え、ふと「このまま日本で老後を過ごすべきか」と考えたことはありませんか?
年金だけでは贅沢な暮らしは難しい現実があります。物価は上がり続け、老後資金への不安は募るばかりです。そんな中、海外移住という選択肢が注目を集めています。東南アジアなら月10万円台で快適に暮らせる、温暖な気候で医療費も安い――そんな情報を目にして、「本当に可能なのか?」と気になっている方も多いでしょう。
実際、定年後に海外へ移住する日本人は年々増加しています。しかし、準備不足で後悔するケースも少なくありません。言葉の壁、医療問題、ビザ取得の難しさなど、夢だけでは乗り越えられない現実もあるのです。
この記事では、定年後の海外移住を真剣に検討している方へ向けて、費用・ビザ・おすすめ国・失敗しないポイントまで、実践的な情報をお届けします。
記事のポイント4つ
- 定年後海外移住の現実的な費用とランキング形式でのおすすめ国
- ビザ取得の具体的な条件と必要書類(国別比較)
- おひとりさま・女性一人でも安心できる移住先の選び方
- 後悔しないために知っておくべきリスクと事前準備
定年後の海外移住が注目される理由

年金だけで暮らせる国が存在する現実
日本で年金月15万円では質素な生活を余儀なくされますが、東南アジアでは同じ金額で快適な暮らしが可能になります。家賃、食費、光熱費を含めても余裕があり、時には外食やマッサージも楽しめる生活が実現できるのです。
特にタイやマレーシアでは、日本の半分以下の生活費で豊かな暮らしが実現できると言われています。
年金でリッチに暮らせる移住先ベスト6の国々では、日本では諦めていた趣味や娯楽にもお金を使えるゆとりが生まれます。これは単なる節約生活ではなく、限られた年金収入でも質の高い生活を送れるという、まさに「10万円で裕福な生活」を実現する選択肢なのです。
温暖な気候と穏やかな生活ペース
寒さが苦手な方、関節痛や血圧が気になる方にとって、一年中温暖な気候は大きな魅力となります。日本の冬は暖房費がかさむだけでなく、寒さによる体調不良のリスクも高まります。
一方、東南アジアや地中海沿岸の国々では、年間を通して温暖な気候が続きます。タイやマレーシアでは平均気温が25度から30度で安定しており、冬服や暖房器具が不要です。ポルトガルのアルガルヴェ地方では、年間300日以上が晴天という理想的な気候条件が整っています。
また、時間に追われない穏やかな生活リズムは、定年後の心身の健康にも好影響を与えます。東南アジアの「マイペンライ(気にしない)」という文化や、南欧の「シエスタ(昼寝)」の習慣は、日本の忙しない社会とは対照的です。
このゆったりとした時間の流れが、ストレスを軽減し、心の余裕を生み出してくれるのです。
日本人コミュニティの存在
人気の移住先には日本人コミュニティが形成されており、情報交換や助け合いができる環境が整っています。例えば、タイのバンコクには約7万人の日本人が在住しており、日本人会や趣味のサークルも充実しています。マレーシアのクアラルンプールでも、日本人向けのフリーペーパーが複数発行され、日本食レストランや日本語対応の病院も豊富です。
言葉の壁があっても孤立しにくく、特におひとりさまの移住者にとって心強い存在となります。SNSを通じて移住前から現地のコミュニティと繋がることもでき、到着後すぐに相談できる相手を見つけることも可能です。
年金でリッチに暮らせる国ベスト6!
【1位】タイ

タイは老後海外移住ランキングの中でも、特に日本人に人気の高い国です。月額生活費の目安は10万円から15万円で、日本の半分以下のコストで快適な暮らしが実現できます。
タイの最大の魅力は、日本人コミュニティが充実している点です。バンコクやチェンマイには日本人向けのサービスが豊富にあり、日本語対応の病院も複数存在します。医療水準も高く、バンコクの私立病院は国際基準を満たしており、日本と変わらない医療を受けられます。
ビザに関しては、リタイアメントビザの取得が比較的容易です。年齢が50歳以上で、タイの銀行に80万バーツ(約340万円)の預金があるか、月収6.5万バーツ(約28万円)の年金収入を証明できれば申請できます。更新は1年毎ですが、条件を満たし続ければ継続的な滞在が可能です。
注意点として、バンコクは近年物価が上昇傾向にあります。より生活費を抑えたい場合は、チェンマイやホアヒンなどの地方都市を選ぶことで、月8万円程度でも十分に暮らせます。
【2位】マレーシア

マレーシアは、医療、治安、言語環境のバランスが優れた移住先として人気です。月額生活費の目安は12万円から18万円で、首都クアラルンプールでも快適な生活が送れます。
最大の魅力は英語が広く通じることです。マレーシアは多文化社会で、英語が準公用語として機能しているため、日常生活での意思疎通に困ることは少ないでしょう。これは、おひとりさま老後移住海外を考える方にとって大きな安心材料となります。
医療水準も高く、クアラルンプールやペナンには国際病院が複数あり、医療ツーリズムの目的地としても知られています。多くの医師が英語を話し、設備も最新のものが整っています。
ビザに関しては、MM2H(マレーシア・マイ・セカンド・ホーム)プログラムが有名ですが、2021年以降条件が大幅に厳格化されました。現在は定期預金150万リンギット(約4,800万円)と月収4万リンギット(約128万円)の証明が必要になり、以前より取得のハードルが高くなっています。
治安も比較的良好で、女一人海外移住老後を考える女性にとっても安心できる環境です。ただし、ビザ取得の条件が厳しいため、十分な資産がある方向けの選択肢と言えるでしょう。
【3位】フィリピン

フィリピンは、英語が公用語でありながら生活費が非常に安い、コストパフォーマンスに優れた移住先です。月額生活費の目安は8万円から12万円で、東南アジアの中でも特に低コストで生活できます。
フィリピン人は非常にフレンドリーで親しみやすく、外国人に対してもオープンな国民性を持っています。英語が公用語のため、日常会話から役所の手続きまで英語で対応でき、言葉の壁が低いのが大きな魅力です。
ビザに関しては、SRRV(特別居住退職者ビザ)が用意されており、35歳以上であれば申請可能です。預金額は年齢や用途によって2万ドルから5万ドル(約300万円から750万円)と、タイやマレーシアと比べても取得しやすい条件となっています。さらに、このビザは無期限で更新の必要がないという大きなメリットがあります。
気候は一年中温暖で、特にセブやダバオなどのリゾート地は過ごしやすい環境です。ビーチリゾートでの生活を楽しみたい方には理想的な選択肢でしょう。
ただし、地域によって治安に差があることは注意が必要です。マニラの一部地域は避け、セブやバギオなどの比較的安全な都市を選ぶことが重要です。また、医療水準は都市部では高いものの、地方では限られているため、病院へのアクセスも考慮して住む場所を選びましょう。
【4位】ポルトガル

ヨーロッパで老後海外移住を考えるなら、ポルトガルが最有力候補です。月額生活費の目安は18万円から25万円と、東南アジアよりは高めですが、西欧諸国の中では格段に安い生活費で暮らせます。
ポルトガルの魅力は、温暖な気候と高い医療水準、そして良好な治安です。特にリスボンやポルト、アルガルヴェ地方は地中海性気候で一年を通して過ごしやすく、冬でも温暖です。医療制度も充実しており、公的医療保険に加入すれば安価で質の高い医療サービスを受けられます。
治安も西欧の中でトップクラスに良好で、女性一人での移住も比較的安心です。ヨーロッパ全体へのアクセスも良く、近隣国への旅行も気軽に楽しめます。
ビザに関しては、D7ビザ(年金受給者向けビザ)が用意されており、月収約1,200ユーロ(約19万円)程度の収入証明があれば申請可能です。このビザは2年毎の更新が必要ですが、条件を満たせば継続して滞在できます。
注意点として、ポルトガル語という言語の壁があります。英語が通じる場所も増えてはいますが、日常生活や行政手続きではポルトガル語が必要になる場面も多いでしょう。また、ビザ申請や各種手続きには時間がかかることも覚悟しておく必要があります。
【5位】ベトナム

ベトナムは、経済発展が著しく活気にあふれた国です。月額生活費の目安は8万円から12万円と、フィリピンと同程度の低コストで生活できます。
ベトナム料理は日本人の口に合いやすく、フォーや生春巻きなど健康的な食事が豊富です。屋台文化が根付いており、1食100円から200円程度で美味しい食事が楽しめます。また、ベトナムは親日的な国としても知られており、日本人に対して友好的な態度を示す人が多いのも魅力です。
しかし、ビザに関しては複雑な面があります。長期滞在用のリタイアメントビザが整備されておらず、ビジネスビザや投資ビザを活用する必要があります。また、ビザの更新手続きが煩雑で、頻繁に規則が変更されることもあるため、現地のエージェントを活用することをおすすめします。
医療水準は都市部では向上していますが、まだ日本や他の東南アジア諸国と比べると劣る面もあります。重大な病気の場合は、タイやシンガポールへの医療ツアーを検討する必要があるかもしれません。
【6位】台湾

台湾は、日本から飛行機で3時間から4時間という近さと、文化的な親和性の高さが魅力です。月額生活費の目安は12万円から18万円で、地方都市を選べばさらに安く抑えられます。
台湾の最大の魅力は、日本との文化的な近さです。多くの台湾人が日本に親しみを持っており、特に高齢者の中には日本語を話せる方も少なくありません。食事も日本人好みのものが多く、食文化の違いによるストレスが少ないのは大きなメリットです。
医療水準も非常に高く、台湾の健康保険制度は世界的にも評価されています。日本と同様に国民皆保険制度があり、一定の条件を満たせば外国人も加入できます。医療費も日本より安く、質の高い医療サービスを受けられます。
治安も良好で、夜でも比較的安全に外出できます。公共交通機関も発達しており、台北のMRTや高速鉄道は便利で快適です。
ビザに関しては、居留ビザの取得にはいくつかの条件があります。不動産投資や一定額以上の預金証明が必要になるケースもあり、ハードルは決して低くありません。また、台北は近年物価が上昇しており、生活費を抑えたい場合は台中や高雄などの地方都市を検討すると良いでしょう。
日本との往来が容易なため、家族や友人との関係を維持しやすいのも大きなメリットです。完全な移住ではなく、日本と台湾を行き来する「デュアルライフ」も選択肢として考えられます。
定年後の海外移住費用|初期費用と月額コストの内訳

移住前にかかる初期費用
定年後の海外移住費用を考える際、まず把握すべきは初期費用です。この初期投資を正確に見積もることが、移住計画の第一歩となります。
ビザ申請費用は国によって大きく異なり、5万円から50万円の幅があります。タイのリタイアメントビザは比較的安価で5万円程度ですが、ポルトガルのD7ビザは弁護士費用なども含めると30万円から50万円かかることもあります。
航空券は時期や予約のタイミングによって変動しますが、片道5万円から15万円が目安です。引っ越し荷物が多い場合は往復で移動する必要があるため、この費用も考慮しましょう。
住居の敷金や家具購入には10万円から30万円程度を見込んでおくべきです。現地で家具付き物件を借りれば初期費用を抑えられますが、長期滞在を考えるなら自分好みの家具を揃えたほうが快適です。
健康診断や予防接種は3万円から5万円程度です。多くの国でビザ申請時に健康診断書の提出が求められますし、移住先によっては特定の予防接種が推奨されます。
引っ越しや荷物輸送は、どの程度の荷物を持っていくかで大きく変わります。航空便なら10万円程度で済みますが、船便で大量の荷物を送る場合は30万円から50万円かかることもあります。
これらを合計すると、初期費用の目安は50万円から150万円となります。予想外の出費も考慮して、上限に近い金額を準備しておくと安心です。
予備費・緊急資金の重要性
老後海外移住費用を考える際、見落としがちなのが予備費と緊急資金の確保です。突然の病気や急な帰国、ビザ更新トラブルなど、予期せぬ出費は必ず発生するものと考えておくべきです。
最低でも100万円以上の予備費を確保しておくことを強くおすすめします。これは月々の生活費とは別に、いつでも引き出せる形で保持しておくべき資金です。
予備費は「使わずに済めばラッキー」という心構えで準備しておきましょう。この余裕資金があることで、精神的にも安定した海外生活を送ることができます。
定年後の海外移住ビザ取得ガイド

リタイアメントビザとは
定年後の海外移住ビザとして最も一般的なのが、リタイアメントビザです。これは多くの国が50歳以上の外国人向けに用意している長期滞在ビザで、年金受給者や資産保有者を対象としています。
リタイアメントビザの最大の特徴は、現地での就労を禁止する代わりに、長期滞在を認めるという点です。つまり、働かずに生活できる経済力があることを証明できれば、その国で長期的に暮らすことが許可されるのです。
各国は高齢の外国人移住者を受け入れることで、経済効果を期待しています。移住者は現地で消費活動を行い、住居を借り、サービスを利用することで、地域経済に貢献します。また、医療ツーリズムの観点からも、外国人患者は重要な収入源となっています。
リタイアメントビザの条件は国によって大きく異なりますが、一般的には年齢制限、預金額または年金収入の証明、健康診断書の提出などが求められます。更新期間も1年毎から無期限までさまざまで、自分のライフスタイルに合った国を選ぶことが重要です。
国別ビザ取得条件の比較表
主要な移住先国のビザ条件を比較表にまとめました。この表を参考に、自分の状況に最も適した国を見つけましょう。
| 国名 | ビザ名 | 年齢条件 | 資金条件 | 更新期間 | 特記事項 |
|---|---|---|---|---|---|
| タイ | リタイアメントビザ | 50歳以上 | 預金80万バーツまたは月収6.5万バーツ | 1年毎 | 比較的取得しやすい |
| マレーシア | MM2H | 制限なし | 預金150万リンギット+月収4万リンギット | 5年 | 2021年以降条件厳格化 |
| フィリピン | SRRV | 35歳以上 | 預金2万〜5万ドル | 無期限 | 更新不要で便利 |
| ポルトガル | D7ビザ | 制限なし | 月収約1,200ユーロ | 2年毎 | 手続きに時間要 |
| ベトナム | – | – | 条件複雑 | – | 専用ビザなし |
| 台湾 | 居留ビザ | 制限なし | 投資または不動産購入 | 1年〜 | 条件が厳しめ |
この表から分かるように、フィリピンのSRRVは年齢制限が35歳と低く、預金額も比較的少額で、しかも更新が不要という点で非常に取得しやすいビザです。一方、マレーシアのMM2Hは資金条件が厳しく、富裕層向けのビザと言えるでしょう。
タイのリタイアメントビザは、年齢が50歳以上という条件はありますが、預金額80万バーツ(約340万円)または月収6.5万バーツ(約28万円)の証明で取得でき、バランスが良い選択肢です。
ビザ申請で失敗しないポイント
ビザ申請は煩雑で時間がかかるため、計画的に進めることが重要です。まず、必要書類は余裕を持って準備しましょう。英文の残高証明書、年金証書の翻訳、無犯罪証明書など、取得に時間がかかる書類もあります。
多くの書類には有効期限があります。特に健康診断書は発行から3ヶ月以内という制限があることが多いため、申請時期を逆算して取得するタイミングを計画しましょう。
現地エージェントの活用も検討する価値があります。特に言語に不安がある場合や、複雑な手続きが苦手な方は、専門家のサポートを受けることで、スムーズに申請を進められます。費用は数万円から十数万円かかりますが、失敗して再申請する手間を考えれば、決して高くはありません。
ビザ条件は頻繁に変更されるため、常に最新情報を確認することが不可欠です。インターネット上の古い情報を鵜呑みにせず、各国の大使館や移民局の公式サイトで最新の条件を確認しましょう。
また、申請時には想定以上の資金を準備しておくことをおすすめします。為替変動により、申請時点で条件を満たせなくなることもあるためです。預金額が条件ギリギリではなく、10パーセントから20パーセント程度の余裕を持たせておくと安心です。
おひとりさまでも安心な海外移住先の選び方

おひとりさまにおすすめの国
おひとりさま老後移住海外に適した国として、特におすすめなのが以下の3カ国です。それぞれに特徴があり、自分の優先順位に合わせて選ぶことができます。
マレーシアのクアラルンプールは、英語が広く通じることが最大の魅力です。日常会話から医療機関での診察まで、英語でコミュニケーションが取れるため、言語の壁が低くなります。さらに、ショッピングモールや公共交通が充実しており、車がなくても快適に生活できます。
ポルトガルのリスボンやポルトは、ヨーロッパの中でも治安が非常に良好です。女性の一人歩きも比較的安全で、夜でも人通りの多い場所であれば心配は少ないでしょう。芸術や文化活動が盛んで、美術館や劇場、音楽イベントなどが頻繁に開催されており、趣味を通じた交流機会も豊富です。
医療制度も整っており、公的医療保険に加入すれば質の高い医療を受けられます。ただし、ポルトガル語の壁があるため、移住前に基礎的な語学学習をしておくことをおすすめします。
台湾の台北や台中は、夜でも明るく治安が良いことで知られています。コンビニや24時間営業の店舗も多く、夜間でも人通りがあるため、女性一人でも安心して外出できます。日本語が通じる場所も多く、特に高齢者の中には流暢な日本語を話す方もいます。公共交通が発達しており、MRTやバスを使えば市内のどこへでも簡単に移動できます。日本から近いため、何かあった時にすぐ帰国できるという安心感も大きいでしょう。
孤立を防ぐコミュニティの見つけ方
海外での孤独は、身体的な健康だけでなく精神的な健康にも悪影響を及ぼします。そのため、移住前からコミュニティとの繋がりを作っておくことが重要です。
現地の日本人会や趣味のサークルに参加することは、最も効果的な方法の一つです。多くの都市には日本人会があり、定期的に交流会やイベントを開催しています。料理教室、ヨガクラス、読書会など、興味のある活動を通じて自然に友人関係を築けます。
SNSやオンラインコミュニティで事前に繋がることも有効です。フェイスブックには各国の日本人移住者グループがあり、そこで情報交換をしたり、質問をしたりできます。移住前から顔見知りを作っておくことで、到着後すぐに相談できる相手ができます。
まとめ
定年後の海外移住は、夢物語ではなく実現可能な選択肢です。年金だけで豊かに暮らせる国は実際に存在し、おひとりさまや女性一人でも安心できる環境は整っています。
定年後の人生は、まだまだ長く続きます。その時間を、どこでどう過ごすか。海外移住という選択肢を、焦らず慎重に、でも前向きに検討してみてください。準備さえしっかりすれば、年金だけでリッチに暮らせる第二の人生が、あなたを待っています。


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